身軽さと刺激を求めてOYO LIFEを利用し始めてから早2ヶ月。ちょっぴり特別なひと夏を過ごしたこの部屋とも、もうお別れだ。
OYO LIFEのような「短期で住居を転々とする生活」に利用できるサービス(中略)類似サービスにはADDressやHafHというものがあり、ADDressがシェアハウス(日本全国)、HafHはゲストハウス(日本全国+世界各地)、OYO LIFEはマンスリーマンション(関東一都三県)を主な物件として扱っている点が異なる。
モノ、暮らし、未来、すべてをコントロール可能でハンディなところまで削ぎ落として局所最適に生きる、というのは今の自分にとても合っていて、期待以上に良い2ヶ月間だった。世情もキャリアも人間関係も相変わらず先は不透明だし、今はこの生活をもう少し続けて人生にランダム性を与えるのも悪くないように思う。
というわけで次の物件を契約したので、12月までの2ヶ月間は引き続きOYO LIFE暮らし。翔んで埼玉、5年ぶりの都外での生活。そこに快適な暮らしはあるのだろうか?実験結果に乞うご期待。
そのあとは未定だけれども、入居・退去・引っ越しを一通り体験した今、OYO LIFEをこれ以上使い続ける意欲があまり湧かないので(後述)、3度目はおそらく無いだろう。
振り返り
改めて振り返ると、隅田川の東側(両国近辺;最寄り駅は都営新宿線/大江戸線・森下駅)は非常に住みやすいところだった。下町感と都会感のバランス、各方面へのアクセスの良さ、いたるところに点在する公園や大小様々な河川に見る「自然」とトラックが行き交う大通りやスカイツリーが見せる「人工物」のコントラスト。ここに住み続けたい・また住みたい、そう思えるだけの魅力が十二分にあった。
暮らしぶりは『程よく疎な隅田川の東側で、ものたりない夏を静かに過ごす』に書いたとおりだが、特筆すべきはやはりカフェ、ロースタリーの多さだろう。毎週異なる店舗でコーヒー豆を買っていたのに、結局いきたいリストのすべてを制覇することはできなかった。また、先の記事では書かなかったけれど、近隣のビアバーの充実っぷりもなかなかのものだった。特に江東区のマイクロブルワリー・江戸東京ビールとガハハビールは料理と合わせて非常にクオリティが高く、どちらも私的2020年ビアバーTop5入りは堅いので、クラフトビール好きの皆様はぜひ。
OYO LIFEのサービスそれ自体に関して言えば、キャンペーン利用・月額コミコミ5万円(初期費用、共益費、光熱水費、ネット込)でこの立地の築浅マンションに2ヶ月強住むことができた、という一点において文句なしの満点評価である。特に、猛暑×完全リモートワークという状況下で冷房を電気代の心配ゼロで使い倒せたことについては感謝しか無い。
一方で、気になった点も多々ある。以下、OYO LIFEというサービスについての所感をまとめる。
要するにただのマンスリーマンション暮らし
まず、サービスを利用して感じたメリット、デメリットの多くはマンスリーマンション暮らしに共通する一般的な“それ”である、という点は強調したい。
- 荷物が少ない。身軽な暮らし。ミニマリスト。
- 基本的にクレジットカード払いが可能(=家賃払ってポイント/マイルが貯まる好循環)。
- 諸々コミコミなので相対的に高い家賃。
- 滞在期間が短いと家賃はより一層高くなり、初期費用として少なくない額の清掃費(数万円)が毎回かかるので、コロコロと居所を変えるための選択肢には向かない。
- 長く続けるなら、ふつうに賃貸で自分で光熱水費とネット代を払って家具家電を用意した方が安い。
- 備え付けネット環境がポケットWiFiなどでしょぼい。
ゆえに、「OYO LIFEがいい」という強い理由がない限り、グッドマンスリーなどで普通にマンスリーマンションを探すことも十分選択肢になる。むしろ関東一都三県という制約がなくなる分、まずは広くマンスリーマンションから探したほうが良いかもしれない。
(すべてがうまくいけば)最高の賃貸体験になる
では「OYO LIFEがいい」という理由になり得るものとして、どのような利点が挙げられるか。
ひとつ、キャンペーンがお得。
Amazonギフト券プレゼントや家賃割引など、常に何かしらのキャンペーンをやっているので、うまく利用すればマンスリーマンション特有の金銭的デメリットを相殺できる。僕が初回物件で利用したコロナ撲滅キャンペーン(?)の「都心の好立地築浅マンションが月5万円」は最早バグ。
ふたつ、コミュニケーションが一切発生せずスムーズに入退去が可能。
基本的な流れは次のようなイメージ。
- 契約
- Webサイト/アプリ上で必要事項を入力
- 身分証明証の写真添付
- PDFによる契約締結
- 入居
- 前日にハウスガイドがPDFで届く
- カギはキーボックスから自分で受け取る
- 退去
- 室内の写真をいくつか撮影して送信
- カギを元の場所に返却
初回物件は本当に誰ともコミュニケーションを取らずにサクッと契約・入居できたので、「え、これだけ?」と逆に不安に思ったほど。
それでも3度目は無い、と思う理由
しかし、“すべてがうまくいけば”と書いたように、実際には完璧とは言い難いサービスであることもまた事実。個人的に「OYO LIFEを使い続けるのはちょっと・・・」と思った点を列挙すると以下の通り。
- 初回物件がキャンペーンで格安だったので、その次までは許容できる。でもそれ以降は早くも損益分岐点が見えてくる。
- 時代に合わせた「テレワーク対応」の宣伝文句をみるけど、全然対応できていない物件が多い。
- 部屋にちゃぶ台しかない。腰が死ぬ。
- ネット環境がポケットWiFiやSoftbank Airのような不安定なものだと、オンラインミーティングの実施に大いに支障をきたす。
- 2物件目以降、より詳細な条件で部屋を探した場合の体験が悪すぎる。
- アプリの物件検索画面がただのWeb Viewで非モバイルフレンドリー。結果、誤タップ多発で相当なストレスがたまる。
- 検索時のフィルターが「家具家電付き」「自粛対応」「仕事場」くらいしかない。(「自粛対応」「仕事場」とは・・・?)
- WiFi環境など、詳細設備を知ろうとするとコンシェルジュとのコミュニケーションが必須。
- 最終的にふつうの賃貸で対面の部屋探し・内見をする体験と変わらないくらいの時間を要した。
- すでにユーザ登録をして一度利用しているのに、新たな契約ではゼロからすべての情報を入力させられる。(なにか賃貸契約上の越えられない壁があるのかもしれないが。)
- OYO LIFE物件、どこに住んでも、OYO LIFE。
- 同じホテルチェーンだと全国どこで泊まっても内装が似ていてつまらない問題。それと同じ。
- どこかで見たことある家具家電と内装。
- 結果、飽きる。
コンシェルジュの方々にはLINE上でとても丁寧に対応していただき、それ自体は素晴らしかったのだけれど、いかんせん非効率だった。最近はOYO LIFEが管理していない物件も扱っているようで、そういった物件について問い合わせると、都度「担当部署への確認」が発生した。このあたりの情報共有体制には改善の余地があるように思う。問い合わせる側(僕)としても、問い合わせ内容を事前に十分精査してLINE上でのメッセージの往復回数を減らす、などの配慮は必要だっただろう。
ちなみに、管理会社がOYO LIFEではない物件の場合、申し込み後に部屋の空き状況の確認が行われる点に注意。つまり検索結果で「空室あり」となっていても、実際に申し込んでOYO LIFE側で確認が取れるまではわからない。今回最初に目をつけていた物件は、コンシェルジュ経由で1週間くらいかけて詳細を聞いて契約を決意したにも関わらず、最終的に「ご指定の期間では空きがないとのことです」となり水泡に帰した。(一番はじめに希望入居日と期間を明記したはずだったんだけどな・・・。)
翔んで埼玉
なにはともあれ「今」である。埼玉・川越でコエドビールを飲み続ける生活が始まった。駅前にある7月にオープンしたばかりのブルワリー併設バー・COEDO BREWERY THE RESTAURANTの新作「Fresh Hop 2020」は名作だった。
まだまだ東京(池袋)には40分で行くことができるし、東京暮らし vs. 移住の様子見をするにも丁度いい場所であるように思う。いまのところ、近所に畑があって夜中に鈴虫の鳴き声が聞こえる生活の安心感・・・という感想。あと、さつまいも推しすぎ。
縁もゆかりもない土地で秋から冬へ。一体どんな2ヶ月間になるんだろう?これまで以上に心身の変化を注意深く観察し、その過程を楽しんでいきたい。
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最終更新日: 2022-01-18
書いた人: たくち
Takuya Kitazawa(たくち)です。長野県出身、カナダ・バンクーバー在住のソフトウェアエンジニア。これまでB2B/B2Cの各領域で、Web技術・データサイエンス・機械学習のプロダクト化および顧客への導入支援・コンサルティング、そして関連分野の啓蒙活動に携わってきました。現在は主に北米(カナダ)、アジア(日本)、アフリカ(マラウイ)の個人および企業を対象にフリーランスとして活動中。詳しい経歴はレジュメ を参照ください。いろいろなまちを走って、時に自然と戯れながら、その時間その場所の「日常」を生きています。ご意見・ご感想およびお仕事のご相談は [email protected] まで。
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