『トレジャーデータ株式会社を退職して Treasure Data (Canada) に入社しました』から1ヶ月が経った。1月中旬にビザ(労働許可)申請が承認されてからは2ヶ月強。
幸い今のところ大きな問題は発生していない。日本での退職・海外転出に関する知見はネット上に山ほど転がっているし(参考:海外在留届・海外転出届・国際免許証・税金などの諸手続き)、カナダ・バンクーバー近郊での生活準備も、元々ワーホリや留学で人気の場所だったこともあり、必要な情報は調べれば割とすぐに出てくる。そして何よりも日常生活で英語が使えるというのがデカい。同僚に「分かるよ君の辛さ。自分も昔アメリカからドイツに移住したときは・・・」という話をされたが、それは多分僕の32倍くらい難しい。
一方、コロナ禍での移住やフルタイムワーカーとしての転勤のため、ネット上の情報が100%当てはまるとは限らないケースもあったので、ここで直近の2ヶ月間 (+α) を振り返ってみる。
- 【半年前〜】徐々に身辺整理を始めた
- 【1ヶ月前〜】渡航準備
- 【1週間前〜入国後3日目】出入国と政府指定ホテルでの強制隔離
- 【入国後4日目〜14日目】たのしい()隔離生活
- 【2週間後〜今日】僕は元気です。
- これから
【半年前〜】徐々に身辺整理を始めた
- いつでも動けるように&退路を断つために。
- 2020年7月『軽やかに生きたくて。』
- 住民票を実家に移して、各種サービスの登録住所もそこに集約した。
- ビザ申請・海外移住に際して必要な手続きの一部(無犯罪経歴証明書の発行、海外転出届の提出など)は「住民票所在地の{警察,役所,...}」で行う必要があるので(その都度帰省するのは少々面倒だが)確実な1つの住所に固定されていたほうが安心。
- 固定費・銀行口座・クレジットカード契約などを見直した。
- 後でなにかとお金がかかるし、いずれ解約することになるので、サブスクリプションなども早いうちに断舎離。余計な出費や、直前での手続きの手間を抑える。
- やっておけばよかったこと:MVNOへの移行(結局、出国直前に慌ててやることになった)
【1ヶ月前〜】渡航準備
- 労働許可申請が通ったらすぐに渡航日を決めて、政府の入国制限状況を確認の上、フライト、渡航前PCR検査、14日間の自主隔離ホテルを予約した。
- 国際線は多くが運休となっているので要確認。カナダ・バンクーバーへの直行便は2-3日に1便しか飛んでいない。
- このとき確認したカナダの入国制限は、後日、自分の渡航日の4日前からより一層厳しいものに変更された(後述)。
- (緊急事態宣言下だったため家族以外には一切会えなかったが)会える人には今のうちに会っておく。後悔しないように。
- 税金関連の手続きを済ませた。
- 令和2年分の確定申告をe-Taxで終わらせた。
- 後日、税務署から「訂正・再提出のお願い」が届いて焦った(が電話で話して解決した)ので、時間にゆとりを持って提出すること。
- 納税管理人(所得税)を選定し、税務署に届け出を行った。
- 給与天引き予定だった税金の未払い分や令和3年(移住する年)分の所得について、どのような対応になるか会社に確認した。
- 令和2年分の確定申告をe-Taxで終わらせた。
- 役所で海外転出の手続きをした。
- これに伴って必要な各種手続きは、その場で役所の方から説明・案内があった。
- マイナンバーカードの返納
- カード自体は手元に返ってくるので、(今のところ)e-Taxログインなどは引き続き可能。
- 在外選挙人名簿登録への登録(できなかった)
- 自分は、地元に住民票を移してから日が浅かったため、同日中の登録はできなかった。この場合は渡航後、大使館に在留届を提出したあとで別途申請する必要がある。
- 納税管理人(住民税)の選定
- マイナンバーカードの返納
- これに伴って必要な各種手続きは、その場で役所の方から説明・案内があった。
- 国際免許証を返納し、新しいものを発行した。
- 現地で免許証書き換えの手続きを行ってしまえばそれまでだが、念の為。
- 現地SIMを事前調達し、電話番号を取得した。
- Phoneboxを利用した。SIMカードのみをAmazonで注文し、開通手続き・月額料金の支払いはネットから行う。
- 現在のカナダの渡航規制では「現地で確実につながる電話番号」の事前申告が求められるので、中途半端なプリペイドSIMや(海外通話対応の)日本のSIMで行くのは避けた。
- PhoneboxだとLINEに日本語での質問窓口もあるので、隔離中で外に出られずとも安心。
- 日本のSIMの料金プランを見直した。
- 現地でSMSを受信する&帰国時に利用する機会はまだあるので、できるだけ低価格で番号を維持したかった。
- 安定性重視でずっとドコモだったが、IIJに切り替えた(今更)。
- この先1年間は月額約1000円で維持できそう。ドコモの2年縛りのために違約金が発生したが、それでも半年後には元が取れる計算。
- ちなみに、回線契約なしで番号だけ保管しても結局月額約400円かかる。
- 参考:海外赴任時に携帯電話番号を安く維持する方法
【1週間前〜入国後3日目】出入国と政府指定ホテルでの強制隔離
- 残っていた退職関連の手続きを終えた。
- 会社から借りていたものや保険証を返却
- お金・税金周りの今後の対応について再確認
- 企業型確定拠出年金の移管手続き(新たに拠出はできないので、運用管理者になるだけ)
- 遺言書をアップデートした:『遺言状.diff(2021年2月)』
- IELTSを受験した:『はじめてのComputer-delivered IELTS (General Training) @ British Council―Academic, Paper-based, 英検主催と比較して』
- 久しぶりの海外&いろいろな準備で忙しいからこそ、荷造りは特に慎重に行った。
- 空港宅配サービスを利用して大きい荷物は別送。
- 隔離期間もあるため、食料品や化粧品など、生活必需品で日本で愛用していたものがある場合は新品を多めに買って持っていくようにした。
- 渡航先への持ち込み可否は要確認。
- その他は『コロナ禍でのカナダ渡航(2021年2月26日・入国後PCR検査義務化後)』でまとめたとおり。
- 直前にカナダの入国制限に変更があり、1ヶ月前から準備していたにもかかわらず、かなりドタバタした。
【入国後4日目〜14日目】たのしい()隔離生活
6日目:ブリティッシュコロンビア州の保健所(?)から生存確認の電話が入る
- 名前、生年月日、申告済み自主隔離住所の確認。
- 入国時に隔離についてきちんと説明を受けたか?咳や発熱などの症状は無いか?食料など必要なものは全て揃っているか?など、一通り確認される。
- 5日後にまた電話する、とのこと。
9日目:発信地 "unknown" からの電話
- 出られなかったのでかけ直すと「隔離に関する政府からの連絡用ダイヤルです。24時間以内にこちらからかけ直します。」との自動音声。
- しかし、その後着信は一度もなかった。
- 電話は常に手元においておく必要があったなと反省。そして番号がなんだろうと、全部出たほうが良さそう。
10日目:PCR検査(三回目)
- 初日に空港で検査キットを受け取った時に「分からないことがあったら箱に記載のメールアドレスまで」と言われたが、このメールでの質問窓口は正直全く使い物にならなかった。返信は2日に1回、土日は応答なし、さらに質問に対して2日後に返ってきた答えが「もう2日経ったから解決したよね?また何かあったら遠慮なく質問してね!」で、お話にならない。
- 仕方なく疑問はそのままにして10日目を迎える。まずは公式の説明ビデオを見て流れを確認。
- オンラインポータル上で看護師とビデオ通話を繋いで、ひとつずつ手順を確認しながら鼻から検体を採取する。
- 24時間いつでもできるわけではないので注意。
- 日曜の昼間で100人/30分くらいの待ち。結局2時間半くらい待った。
- 終了後、同オンラインポータル上で検査機関に発送するための集荷を予約。ホテルのフロントに検体の入った袋を預けておいて、翌日の午前中に集荷してもらった。
12日目:州の保健所からの電話(再)
- 6日目と同じ、基本情報の確認。
- 10日目のPCR検査を終えたかの確認。
- 陰性なら予定通り隔離終了、陽性なら追加で14日間隔離せよとの説明を受ける。
14日目:隔離最終日
- 10日目に受けたPCR検査について、陰性の結果通知を受ける。
- 検体輸送の分だけ時間がかかり、このまま結果がわからずに14日目を終えてしまうのではないかと不安になった。
ホテルでの隔離生活
- 本当に一歩も部屋から出なかった。
- 持ってきてよかったもの:筋トレ道具(アブローラーとチューブ)、ヨガマット
- ストレッチ&ヨガして、仕事して、筋トレして、アニメ見て、文章書いて、たまに勉強してコード書いて、そんな毎日の繰り返し。
- 人と話すことができる唯一の時間なので、仕事がむしろ救いだった。直近で最も前向きに仕事に取り組んだ2週間だったと言っても過言ではない。
- 室内で毎日一万歩、これが難しかった。アニメ見たりポッドキャストやAudibleを聴いたりしながら、その場で足踏みをしていた。
- なぜか毎日めっちゃよく眠れた。
- 室内の照明が暗いので、この2週間で明らかに目が悪くなった。外に出てもうまくピントが合わない。
- スイートルームで良かった。
- 持っててよかったヒルトンゴールドステータス。
- ベッドルームとリビングルームが分かれていて広い室内。ある程度動き回れるので、軟禁されてる感は無かった。
- 宿泊3日目に部屋にプライベートバルコニーがあることに気付き、そこからQoLがかなりマシになった(隣の部屋とつながる扉かと思ってた)。
- 洗濯は手洗いで頑張った。持ってきた除菌スプレーを使いつつ、必要に応じてシャワールームでゴシゴシと。
- (バックパッカーかな・・・?)
- ホテルのランドリーサービスはシャツ1枚で数百円みたいな世界観なので論外。
- 別に誰に会うわけでもないので、最低限の清潔な状態が保てればそれでよろしい。
- 持ってきたほうがよかったもの:もっと速乾性のある服
- 季節的に薄手の服はほぼ日本に置いてきたが、手で洗いやすく乾きやすいのは大切。
- たとえばパタゴニアのキャプリーンTシャツ。
- 食事はルームサービスの朝食(量が多い)を複数回に分けて食べるなどして食いつないだ。
- 朝食は無料。持っててよかったヒルトンゴールド(二回目)。
- 電子レンジと電気ケトルはホテルから借りた。備え付けのコーヒーや紅茶、その他アメニティもフロントに電話をすればすぐに届けてくれるし、目立った不満は一切なかった。
- 4日に一度(計3回)、チートデイ的に特別にお昼も注文した(別料金)。
- 持ってきたほうがよかったもの:酒
- 2週間も禁酒をしたのは実に1年ぶり。ウイスキーの小瓶ひとつでもあったら雰囲気が違ったかもしれない。
- Airbnbで隔離終了後の1ヶ月間の仮住まいを確保した。
- 各種手続き(後述)があり、部屋探しのためにしばらく歩き回りたいので、少し値は張るがバンクーバーのど真ん中で長めに確保。
- 並行して、その後の部屋探しの予行練習をCraigslistで行った。
【2週間後〜今日】僕は元気です。
- 隔離を終え、ホテルから市街地のAirbnbまでUberで移動。シャバの空気はうまい。
- 30分乗っても3000円以下なので、移住に際して多少荷物が多くても安心。
- Uberドライバーに「隔離を終えて、今何が一番恋しい?」と聞かれ「ビール」と即答。
Social Insurance Number(SIN; 社会保険番号)の発行
隔離終了後、即日SINを発行した。カナダに住んだら真っ先にやることのひとつで、雇用主への番号の通知義務がある・・・にもかかわらず、隔離のせいで14日間も遅延していたので、とにかく急ぐ。
手続きは Service Canada @ シンクレアセンターにて:
- 参考:【保存版】カナダのSINナンバー(Social Insurance Number) 取得方法まとめ
- 持ち物:労働許可証、パスポート(いずれも原本)
- コロナ禍での対応
- Service Canada(SINが発行できる政府窓口)は多数あるが、一時閉鎖中の場所もあるので注意。営業状況はココから検索可能。
- 入場規制&待機列あり。一度に建物内に入れるのは5名までで、1時間あたりにさばけるのは9名程度。したがって、営業時間は午後4時までだが、待機列の長さによっては午後2時〜3時で当日中の受け付けを締め切っている様子。
- 手続き自体は10分程度で完了。待ち時間も合わせると計2時間ほど。
なお、SINのオンライン申請も可能だが、その場合は現住所の証明書が必要&番号が手元に届くまで郵送で20日以上かかるので非現実的。
その他、入社に際して必要だった各種書類手続きも、まるっと14日間しっかり遅れてしまっていたので、同日中にできる限り片付けた。
銀行口座の開設とクレジットカードの作成
最短日程で窓口でのアポを取って手続きを行った。給与振込先としてのチェッキング口座(貯蓄用とは別の、普段遣い用口座)はすぐに必要だし、ダラダラと海外手数料を負担しながら日本のクレカで生活するのも厳しいので、即日デビットカードの発行まで完了する窓口での手続きが吉。
同日中に、銀行が出しているクレジットカードも申し込んだ。年収が明記された会社からのオファーレターを持っていけば、初めてでも難なく申請可能。ここでは年会費無料、上限が数万〜数十万くらいのショボいカードを作って、頑張ってクレジットスコアを積み上げてゆく。
なおクレジットカードは15日程度で郵送されるとのことで、投稿日の時点ではまだ届いていない。隔離後の仮住まい (Airbnb) を1ヶ月間借りておいてよかった。もっと短かったらカードが届く前に住所変更となり、少々ややこしかったかもしれない。
銀行選択については、Big 5(カナダの大手5大銀行)の間なら正直大きな違いは見つけられなかった。バンクーバーならいずれも支店・ATMの数は十分。シンプルなオンラインバンキングのみの銀行も流行っているようだが、初心者なので無難に大手から:
- TD Canada Trust (TD)
- Royal Bank of Canada (RBC)
- Scotiabank
- Bank of Montreal (BMO)
- Canadian Imperial Bank of Commerce (CIBC)
- 参考
口座維持費などで細かい優劣はあるが、各銀行が実施している「移民のみなさんカナダへようこそキャンペーン」を利用するとデメリットらしいデメリットはほぼ無くなる:
- TD: Banking for newcomers to Canada
- RBC: Newcomers to Canada
- Scotiabank: StartRight Program
- BMO: Newcomer bank accounts
- CIBC: Welcome to Canada Banking Package
ちなみに自分は、クレジットカードの充実ぶりとポイントプログラムの柔軟性からScotiabankを選択した。初期クレヒスでは選べないが、カナダでは珍しく、海外手数料が無料のカードを出している銀行でもある。(参考:Best Scotiabank Credit Cards In Canada 2021)
※他国で既に同行の口座があり、カナダへの多額の資金移動などを検討している場合はHSBCも良い選択肢になる。
手続きが完了次第すぐに、給与振込口座の情報とTD1フォーム(日本で言う「扶養控除等の異動申告書」みたいなもの)を会社に提出して終了。税金はとてもむずかしい。徐々に勉強していかねば。(参考:カナダの税金: タックス計算の基礎 1)
部屋探し
部屋を探すときは必ずそのエリアを自分の足で歩いてみて、住んでいる自分の姿をイメージしてみる。
ここまで2週間、二度の週末を中心に、バンクーバーのど真ん中とその東西南北をたくさん歩いた。その間Craigslistは絶えずウォッチしつつも、本格的にコンタクト(内見予約)を取り始めたのは二度目の週末を終えて住みたいエリアが絞れてから。
隔離期間中の事前調査では、ざっくりと次のようなエリアに目星をつけていた:
当初想定していた条件としては次の通り:
- 家賃:家具付き電気ガス水道ネット込み$1,500くらい
- 部屋タイプ:Studio(いわゆるワンルーム)
- 期間:最低でも半年、1年間は住み続けたい
- 自動車は買わない
- 自転車は必要なら買っても良さそう
そして実際に歩いてみて感じたこととしては:
- North Vancouver(画像上部)の西側は特筆すべき点がない。確かに店はあるし、30分も歩けば中心地にもアクセスできるんだけど・・・なんかカリフォルニアの郊外を歩いている感が否めない。
- Vancouver(画像下部)はその中心 (Downtown)、西 (West End)、南 (Yale Town)、東 (Gastown, China Town) で全く雰囲気が違う。
- 住むなら西(現在マンスリーで借りているAirbnbもこのあたり)か南かなぁ。
- ただしYale Townは道一本違うだけで雰囲気がかなり変わるので気をつけたい。
- 大通り沿いだと朝から晩まで車(と時々パトカーや救急車)の音が鳴り止まないという問題がある。
- 住むなら西(現在マンスリーで借りているAirbnbもこのあたり)か南かなぁ。
- さらに川を渡って南、Kitsilano, Mt Pleasant あたりも居住地として人気のようだが、街自体の魅力はダウンタウンとその近郊には劣る&徒歩だけでは生きるの厳しそう。
- 気になるハンバーガー屋さんは多いんだけれども。
などなど。そんなこんなでもう少し絞り込んで、最終的に候補としたエリア:
ここからCraigslistで本格的に物件を探し始めるが、もちろん先の条件に100%マッチする物件などあるはずもなく・・・
- 家具なし物件も候補に入れた。
- 良い家具付き物件が意外と無い(その家具いらないんだけど・・・みたいなのが多い。そのくせ高い)
- 家具なしだと月$200ほど安くなるので、その分でデスクとベット買えば良いのでは?という気分になった
- 家賃の上限を$200-300上げて探した。
- (案の定)街の中心部の家賃は安くない。これだけでも相当ヒットする件数が増える
- 絶対に譲れない条件を固定した。
- 完全プライベート(ルームシェアは無理)
- 電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機・乾燥機付き(家具付き物件は少ないが、家電は備え付けの物件も多くある)
- 電気ガス水道ネット込み込み
- どんなに高くても月$1,800以下
あとはもうタイミングと運。
今回は3日間で計12件に内見希望の連絡を入れた。そのうち4件は未だに返信なし、「もう決まってしまいました」と返信があったのが4件、そして内見の日程調整までこぎつけたのが4件。
最終的には、一番最初に内見をした物件が文句なしのロケーション&内装だったので即決。一昨日 Tenancy Agreement へのサインまで終えて、無事に家も決まったのでした。
どこにでも書かれていることではあるが(参考:Housing in Vancouver: Tips for first-time renters)、Tipsとしては:
- 詐欺(条件が良すぎる物件や、内見前にお金の支払いを要求する人)に気をつける
- メールの文面も内見時の会話も徹底的に丁寧に。家主は借り主を選べる立場にあるので、印象は重要
- ダメ元でもとりあえずコンタクトしてみる
- 前の家主からのリファレンスやクレジットスコアの確認など、来たばかりの移民には厳しい条件を掲げている物件も多いが、「家主は無理だけど雇用主・友人・同僚からのリファレンスなら取れます」「クレジットスコアは無いけど会社の雇用証明や年収(オファーレター)なら見せられます」など、代替案を示してみる
- 信用に足る人間かどうか見極めるのが目的なのだから、それをこちらから示せれば可能性はある
下手に隠しても無駄なので、「こっち(カナダ)に来たばかり」ということはオープンにしたほうが良さそう。むしろそれで協力的になってくれる家主が見つかれば、それはとっても素晴らしいなって。(実際に自分が即決した物件の家主はその点も理解した上で柔軟に対応してくれて、感謝しかない)
自分は決めたら最後、それ以降は内見しない&Craigslistは見ないようにしている(絶対どこかのタイミングで「こっちのほうが良かった・・・」ということになるから)。
というわけで、4月中旬からは上記画像の赤エリアのどこかに住みます。
バンクーバーのコロナ事情
全体として街の状況は(非緊急事態宣言下の)日本にかなり近い印象を受けた。
外食に関しては、制限をしながらも店内飲食可で営業しているカフェ・レストランがほとんど。もしもの時のために入店時に名前と電話番号を控えられたり、換気、席の間隔の確保、立席時のマスク着用、アルコール消毒などの徹底、メニューのデジタル化(QRコードを読み取って閲覧)、アクリル板の設置など、基本的な対策も似ている。
街中(屋外)に目を向けると、歩行時はマスクをつけていない人の割合が5割ほど。一方で、小売店の入口にはアルコール消毒があったり、状況に応じて入場規制をしたり、店内はマスク必須だったり、2mのソーシャルディスタンシングについて明示されていたりと、このご時世では当然の対応。
ただし、日本と似たような状況だからといって、当然のことながら注意しすぎるということはない。油断せず、感染拡大防止には十分に配慮していきたい。油断すると次のような事態になる:
- SIN発行時、Service Canadaの窓口で書類を手渡しする際に、アクリル板の下から少し深く手を入れてしまい普通に怒られた。ごめんなさい。
- スーパーで棚の商品を見ていたら、無意識のうちに他の方の2m圏内に入ってしまい、ものすごい勢いでFワードを浴びせられた。ごめんて!
州全体の1日あたりの感染者数は決して楽観視できるものではなく、相変わらず500人超をキープしている。目下の課題は変異種による第3波の到来のようだ。対抗措置として、マスク非着用や大規模な集会の開催・参加に対する逮捕・罰金がしっかりと存在し、それらがきちんと機能している点には力強さを感じる。
いいニュースとしては、ワクチンの承認・確保・摂取プロセスが日本と比較してかなり良いペースで進んでおり、6月には10-20代まで接種可能になるとの話も出ているほど。これは期待できる。
仕事における変化・気付き
仕事に関しては、自分が西海岸時間で生活することによってどのような変化が起こるのか、この点を注意深く観察したい。グローバルな環境下での仕事は難しいし、ストレスフルなものである。これは時差や言語的な壁だけで片付けられる話ではなく、ある種“仕方のない”ことでもある。
これまで日本から見て「なんで北米は・・・」とモヤモヤを抱える側だった自分の視点を入れ替えたとき、どんな気付きがあるのか。「こっち(北米)にはこっちの難しさがある」ということに気付かされて考えを改めるのか、やっぱり「日本サイコー」なのか。はたしてはたして。
『トレジャーデータ株式会社を退職して Treasure Data (Canada) に入社しました』
結論:「こっち(北米)にはこっちの難しさがある」
あくまで一個人の限られた経験に基づく感想なので簡潔に済ませるが、主な発見としては次の通り:
- 3倍くらい忙しくなったのに生産性は全く変わらない問題
- つまり、非生産的なミーティングに巻き込まれまくるようになった、ということ。
- 些細なことでもとにかく口を開いて、会話から解決の糸口を探る、という姿勢は自分も好き。
- しかしリモートワーク下では一歩進んだ議論が求められる分野でもある。オフィスで通りすがりにちょっと雑談をして、そのまま流れでホワイトボードの前で・・・みたいな世界とは全く違うわけで。
- 日本のみなさんが過度に排他的な存在に見えてしまう問題
- 相対的に寡黙な人が多いところに時差も加わると、もう完全に別の世界の住人に見えてしまう。
- だから些細なことで話を振るのはためらうし、どうしてもコミュニケーションの必要がある時は恐る恐る、配慮を欠かさぬように・・・となる。
- 仲良くなりたいんだけど近寄りがたい、そんな初恋のような距離感(しらんけど)。
- "Between me and you"(ココだけの話)多発問題
- 北米メンバーと話す機会が増えて精神的距離が縮まったからなのか、1対1で話してると唐突に深刻な話・ガチな悩みを明かされることが多い。それも複数の人から。
- なんというか、みなさん、今日もお仕事おつかれさまです。
一言でいえば「業務内容そのままに全く別の会社に来た感じ」という現状です。まぁ実際そうなんだけど。
これから
ありきたりな感想だが、本当にあっという間の一ヶ月間だった。今までの最長連続海外滞在日数が40日弱なので、「海外での暮らし」という意味ではやっとこれから、という感じである。
過去にバンクーバーを訪れた際に感じた「ここなら住める」という直感はかなり正しかった気がしていて、自分でも驚くほど、今のところ不満や懸念がほぼ無い。やっぱりクラフトビールとコーヒーは美味しいし、街は歩きやすく公共交通機関も充実している。それでいて自然との距離がとても近く、まるで天国。
まずは2週間後の引っ越しを無事に終えて、その後で住所確定まで保留にしていた (1) 在留届の提出(あわせて在外選挙人名簿への登録手続き)、(2) 運転免許証の書き換え(参考:BC州の運転免許証の書き換え申請に実際に行ってみたレポート)、(3) MSP(国民保険)への加入(参考:2021年度版【BC州の保険MSP申請ガイド】画像でわかりやすく解説!オンラインで約15分!)、などを早めに済ませたい。
とはいえ、MSPなんかは申請から3ヶ月後にようやく有効になるので、真に「こっちでの生活に慣れる」というのは遠そうだ。まぁ、なるようになるでしょう。
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最終更新日: 2022-07-31
書いた人: たくち
Takuya Kitazawa(たくち)です。長野県出身、カナダ・バンクーバー在住のソフトウェアエンジニア。これまでB2B/B2Cの各領域で、Web技術・データサイエンス・機械学習のプロダクト化および顧客への導入支援・コンサルティング、そして関連分野の啓蒙活動に携わってきました。現在は主に北米(カナダ)、アジア(日本)、アフリカ(マラウイ)の個人および企業を対象にフリーランスとして活動中。詳しい経歴はレジュメ を参照ください。いろいろなまちを走って、時に自然と戯れながら、その時間その場所の「日常」を生きています。ご意見・ご感想およびお仕事のご相談は [email protected] まで。
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