昨年話題になった本『Soft Skills』を読んだ。
ソフトウェアエンジニアとして大成するために、そして人生を豊かにするために、いかにしてスキルを磨き、仕事を得て、金を稼ぎ、健康かつマッチョな身体を手に入れるかを説いている。
個人的に印象的だったのは、
- 自分を戦略的にブランディング/マーケティングすることがチャンスを生む
- 正しいマインドセットを備えることが重要
- 自分はできると信じる
- プラスに考える
- 失敗を求める
このあたりの内容。
前者について、プロとアマのミュージシャンの違いはマーケティングにすぎないと言い切っている点がおもしろい。パーソナルブランドとして成功するためには、ニッチな分野で一貫性を持ってしっかりとスキルを高め、メッセージを発信し続けることが重要。
人は離婚弁護士に税や不動産の問題を持ちかけない。専門性は重要で、単なる“弁護士”になろうと思う人はいない。
こういったスペシャリティは経験からしか得られないわけで、要は戦略的に専門特化を図り、それについてアウトプットし続けることが大切だということ。
その点、このブログは話題に一貫性が無く、反省せねばなるまい。
だが著者よ、あなたのブログから漂う胡散臭さは一体何なんだ…せっかく良いことをいっているんだから、もっとシュッとしたブログなら説得力も増したのに…。
マインドセットの話はほとんど自己啓発だけど、まぁ実際に“気の持ちよう”で世界の見え方は大きく変わるし、ウンウンと頷きながら読んだ。
時間の使い方、運動と食事などに関してはすでに実践しているものが多かった。ただし、よく聞く「運動をしながらポッドキャストで勉強!」みたいな話には賛成できない。何度か試したことはあるけど、勉強を兼ねようと思った途端に運動が義務っぽくなって楽しくなくなる。音楽聴きながら頭空っぽにして走っている時間こそ至高。あと著者は強くハードワークを推しているけど、それは読者がどれだけ未来の『成功』に執着するかに拠ると思う。
お金に関しては、不動産投資がアツいらしいが自分はなぜか読めば読むほど「まぁいいや…」という気分になった。給与交渉について、先に金額を言ったほうが負けという話はまぁその通りで、『エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢』でも似たようなことを言っていたと記憶している。
Soft Skills は基本的にすべて筆者の経験を元に書かれており、ソフトウェアエンジニアの生き方の一例として、ときに頷き、ときに失笑してしまうような内容の、とても濃い本だった。書かれていることをすべて真に受けて肯定するのではなく、きちんと咀嚼して、自分の生き方にあった部分をうまく拾い上げて実践しましょう。はい。
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最終更新日: 2022-09-02
書いた人: たくち
Takuya Kitazawa(たくち)です。長野県出身、カナダ・バンクーバー在住のソフトウェアエンジニア。これまでB2B/B2Cの各領域で、Web技術・データサイエンス・機械学習のプロダクト化および顧客への導入支援・コンサルティング、そして関連分野の啓蒙活動に携わってきました。現在は主に北米(カナダ)、アジア(日本)、アフリカ(マラウイ)の個人および企業を対象にフリーランスとして活動中。詳しい経歴はレジュメ を参照ください。いろいろなまちを走って、時に自然と戯れながら、その時間その場所の「日常」を生きています。ご意見・ご感想およびお仕事のご相談は [email protected] まで。
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