ホーム  >   ブログ  >   「考えないこと」

2020-07-28

「考えないこと」

  寄付で活動を支援する   一杯のコーヒーを贈る

このエントリーをはてなブックマークに追加

ひと月前に考えることについて書いた。仕事や勉強などの日常的な場面で困難に直面したとき、僕らは背筋をピンと伸ばして問題を問い直し、正しく考えなければならない。

一方で、人生における重要な判断を迫られたときには、案外「考えないこと」のほうが大切なんじゃないだろうか、とも思う。

高校・大学・大学院への進学、留学、就職・・・振り返れば、大きな意思決定はいつだって即日、長くても1週間以内で行ってきた。

考えれば考えるほど、良くも悪くも様々な可能性が見えてくる。そして、後悔する理由ばかりが積み重なっていく。

「Aならこんなに苦しむことも無かっただろうに」「やはりあのときBを選択していれば・・・」「確かに今は満足だが、本当にこれが最良だったのだろうか?Cを選択していればもっと良かったんじゃないか?」

タイムリープが不可能である以上、このような後悔は大変無駄なものであると僕は思う。

さらに、考えれば考えるほど意思決定の過程で打算が働く。結果、大多数の人間が等しく望み、納得してくれるであろう最大公約数的な結論が導き出される。その事実を自覚すること無く、である。

金や地位、名声こそが最重要であるのならそれもよかろう。僕はそうは思わないけれども。

映画監督・紀里谷和明氏がラジオで語っていた「自分がどう感じるか」を素直に受け入れ、「今の自分が好きか?」と問うことの難しさ。頭のどこかで考えてしまっている限り、これを体現するのは不可能ではないかとさえ思う。

もっと言えば、「考えに考え抜いて選んだ道」なんてものの先にはなーんにも無くて、最初から一切期待しないほうがいいのかもしれない。

「良いな」「嫌だな」「楽しくないな」「ワクワクするな」そんな心の声に耳を傾けよう。直感を信じよう。違和感を見過ごさず、行動しよう。

その選択には、確かに自分の意志が宿っているはずである。

・・・さて、そのためには「考えること」におけるエウレカ的瞬間に対応する<兆候>を見逃してはならない。

自分の場合は<快適さ>や<慣れ>を実感することが一種のシグナル。周辺環境が非常に快適で物事がうまく回っているときや、物事への取り組み方が熟れてきて惰性にシフトしつつあるとき、ふと「あ、このままじゃいけない」と感じる。たかだか二十数年の人生、そういった瞬間はまだ数えられるほどしか訪れていないのだけれど、先に挙げた進学や就職における即決案件はいずれもその好例だ。そんなときには突然ドラスティックに環境を変え、舵を切る。

その積み重ねこそが、自分を自分たらしめるのだ。

「考えるべき」か「感じるべき」か。それを正しく見極め、考えすぎずに生きていきたいものである。

  シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加

  カテゴリ

エッセイ

  あわせて読みたい

2021-08-19
カナダで転職して、プロダクトマネージャーからソフトウェアエンジニアに戻った。
2020-06-21
「考えること」
2020-05-16
データよりもストーリーを、相関よりも因果を。

  もっと見る

最終更新日: 2022-09-02

  書いた人: たくち

たくちです。長野県出身、カナダ・バンクーバー在住のソフトウェアエンジニア。これまでB2B/B2Cの各領域で、Web技術・データサイエンス・機械学習のプロダクト化および顧客への導入支援・コンサルティング、そして関連分野のエバンジェリズムに携わってきました。現在はフリーランスとして活動を続けつつ、アフリカ・マラウイにて1年間の国際ボランティアに従事中。詳しい経歴はレジュメ を参照ください。いろいろなまちを走って、時に自然と戯れながら、その時間その場所の「日常」を生きています。ご意見・ご感想およびお仕事のご相談は [email protected] まで。

  寄付で活動を支援する   一杯のコーヒーを贈る

  免責事項

  • Amazonのアソシエイトとして、当サイトは amazon.co.jp 上の適格販売により収入を得ています。
  • 当サイトおよび関連するメディア上での発言はすべて私個人の見解であり、所属する(あるいは過去に所属した)組織のいかなる見解を代表するものでもありません。
  • 当サイトのコンテンツ・情報につきまして、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、個人ブログという性質上、誤情報や客観性を欠いた意見が入り込んでいることもございます。いかなる場合でも、当サイトおよびリンク先に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
  • その他、記事の内容や掲載画像などに問題がございましたら、直接メールでご連絡ください。確認の後、対応させていただきます。