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2020-09-26

食と栄養について学んでいる。

こんにちは、「自粛期間で痩せた」系の話の大半は「外食が減って脂質の摂取量が抑えられたから」が本質ではないかと思っています。私です。

なにはともあれ、自分の時間と身体、これに勝る資産はない。 『自己投資の大原則』では時間という資産の運用方法について書いた。では、身体についてはどうか。体重の増減に一喜一憂するのは決して悪いことではないが、その原因を探求することでより効率的・効果的な運用が可能になるはずだ。

様々な要因が資産に与える正負両面での影響を知り、長期的な視点に立って最適化を試みる・・・投資にはある種のゲーム的なおもしろさがある1。身体という資産についても同様で、知れば知るほど運用して育てていくことが面白くなる。そして、そのカギを握るのは睡眠・運動・食事だろう。

中でも、自力で比較的容易にコントロールできる食事の重要性は無視できない。ゆえに僕がここ数ヶ月熱心に見ているのは『ザ・きんにくTV (2nd)』『マッスルグリル』『Cooking With Momo』といったカラダ作り系YouTubeチャンネルたちである。スペシャリティは経験からしか得られない—経験に裏付けられた知識を持つ人は本当にすごいと思うし、説得力が違う。

以前、良い炭水化物と悪い炭水化物という考え方を『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』で読んだときは目からウロコだった。

その後、先のYouTubeチャンネルや他の書籍をあたると、カロリー計算やPFCバランスの文脈でより深い洞察が得られた。また、脂質にも良し悪しがあるのだということもわかってきた。

このような知識の断片を整理するにあたり、最近修了したオンラインコース "Stanford Introduction to Food and Health" は大変有用であった。細かい理屈は抜きにして、知っておけばすぐに応用できる次のような知見が得られる。

  • 脂質1グラム=9キロカロリー、タンパク質/炭水化物は1グラム=4キロカロリー
  • タンパク質、脂質、糖質の三大栄養素をバランス良く取ることの重要性
    • 炭水化物を抜いて脂質過多になってもダメ
  • 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
    • 後者は体内では生成できないので、食事を通して魚やナッツ、アボカドなどから摂取することが必須
  • 動物性タンパク質と植物性タンパク質
    • 両者をバランスよく取ろう
  • GI値の低いものから食べて血糖値の急上昇を避ける
    • 茶色い炭水化物の良さ

安価・高カロリー・栄養がほとんどない、の三拍子が揃った加工食品の害について強調していた点や、パッケージの栄養表示の読み方を丁寧に解説している点は「いかにもアメリカだなぁ」というところではあるが2、結論は単純で、フレッシュな野菜や果物など、できるだけ自然のものを使って家でご飯を作ろう、だ。

先生からのより実践的なアドバイスは Eat "food", Not too much, Mostly plants (自然な“本物の”食材を、適度な量とバランスで、野菜など植物性のものを中心に摂ろう3である。それに基づいて、コースの後半は様々なお料理Tipsを紹介している。

  • 塩コショウ、レモン、全粒粉パスタ、にんにく・・・凝った料理をする必要はないので、自分にとって「これだけあれば一食作れる」という "Fundamental ingrediants" を常備しよう
  • 買いすぎず、食べすぎないように、事前に買い物リストをつくってスーパーにいこう
  • 小さめのお皿で、お皿の半分を野菜、あとは穀類とタンパク質で1/4ずつを占めるようなバランスで一食をデザインしよう
    • "Less is More" であることを知ろう(日本の“腹八分目”という言葉も紹介されていた)

ダイエット=食事の回数や量を極端に減らす、ではなく、食事の中身をヘルシーなもので置き換えることが重要なのだ。自分で作れば、油や砂糖など調味料の調整も効いてそれだけでヘルシーになる。

「一生付き合っていく身体という資産を長期的に管理していくためには、基礎中の基礎を知り、あとはできるだけ自分で作ること。」コースを通して伝えられるこのシンプルかつ強力なメッセージは、今の時代にマッチした大変有意義なものであると思う。この主張の基準になっているアメリカの食文化と比べると、僕ら日本人にとっての“よりヘルシーな自炊”のハードルはもっと高いかもしれない。だが、それがまた面白い。1日2000キロカロリーを自炊だけで栄養バランスよく摂取することの難しさよ。

どれも中学校や高校の家庭科の授業できいたような話ではあるけれど、学びとは往々にして“自分ごと”で考えて初めて身になるものである。自粛期間に抱いた疑問やその後の試行錯誤を通して自力でここまで来れたことを嬉しく思うし、引き続き身体という有限の資産を、“ふつう”に、“間違い無く”運用していきたい。

1. 投資であって、投機ではないことに注意。大きく賭けるギャンブル的な単発の面白さではない。「低コストで継続して、長期的に分散投資。そして時々リバランス」が大原則であり、時間をかけて働いてくれた資産が増え、長い目で見たときに自分をずっと遠くまで連れて行ってくれることに対する、より連続的な面白さである。
2. 海外あるある: "Serving size", "Servings per container" がモノによって異なるので誤解しやすい。加工食品には容易に砂糖が用いられるので、読み間違えると知らず識らずのうちにカロリー爆弾を摂取することになる。
3. 「野菜を多めにね」という程度の意味。菜食主義とはまた違う。

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最終更新日: 2022-09-02

  書いた人: たくち

Takuya Kitazawaたくち)です。長野県出身、カナダ・バンクーバー在住のソフトウェアエンジニア。これまでB2B/B2Cの各領域で、Web技術・データサイエンス・機械学習のプロダクト化および顧客への導入支援・コンサルティング、そして関連分野の啓蒙活動に携わってきました。現在は主に北米(カナダ)、アジア(日本)、アフリカ(マラウイ)の個人および企業を対象にフリーランスとして活動中。詳しい経歴はレジュメ を参照ください。いろいろなまちを走って、時に自然と戯れながら、その時間その場所の「日常」を生きています。ご意見・ご感想およびお仕事のご相談は [email protected] まで。

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