先を考えるために、少し過去を振り返ります。
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小学生のころ、僕は学校のコンピュータで休み時間の度に数人の友達とおもしろフラッシュを見ていた。僕を含め、「父親の影響で小さい頃からプログラミング」みたいなスゴい人は周りにいなかったから、コンピュータはゲームボーイやテレビと大差ない『箱』だったし、おもしろフラッシュは『動く絵』だった。おもしろフラッシュをみんなで見る時間は大好きだったが、放課後は公園で遊ぶ方が楽しかったので、残念ながら技術への好奇心など持ち合わせていなかった。
中学生になり、コンピュータ部のようなものに入った。本当は卓球部に入りたかったのだが、そんな部はうちの中学には存在しなかった。この頃一番極めたのはタイピングだ。あの頃の速度にはもはや追いつけない。その次はワードやエクセルというものを覚えて、『箱』が思っていた以上に便利なものだと気づいた。
そしてついにはホームページビルダーとYahoo!ジオシティーズを駆使して初めてのWebページ・たくちのページを開設し、ついでにteacupで掲示板とチャットをレンタルして友達に紹介した。放課後、部活が終わって家に帰って晩ごはんをたべる。その後、チャットでもう一度みんなと集まって話ができる。これは最高に刺激的で楽しかった。だって、メールは一対一だし、送る理由が必要だ。そもそも携帯電話を持っている友達自体少なかったし。この頃はまだ『箱』はただの便利なものにすぎなかった。
しかし中学2年生のとき、世界が変わった。ブログ、オンラインゲーム、ニコニコ動画。僕が感じていた『箱』の可能性をはるかに凌駕する3つのコンテンツに出会ってしまった。そっちに気を取られたおかげで中二病らしい中二病を発症した記憶が無い。
当時ゲーセンの某ゲームにハマっていたこともあり、それに関連した内容+日常を書くブログをYahoo!ブログで開設した。「先輩に勧められて最近プレイしている」という友達から勧められたMMORPGを始めた(ROじゃないです)。久しぶりにおもしろフラッシュサイトを物色していたら、コメントが書き込めてそれが動画の上に流れるというコンテンツを見つけた。
ブログでは多くの同じゲームのプレイヤーの人たちと交流した。記事やコメントで敬語を使うか、タメ口でいいか、悩んだものだ。オンラインゲームは友達に勧められたものだが、ギルドは自分で決めた。本当に良い人たちばかりで、今でもギルドのteacup掲示板にはたまに書き込みがある。ニコニコ動画はよく分からないが衝撃だった。まず動画が抜群に面白いし、その楽しい時間を見ず知らずの人と共有していると思うだけでワクワクした。
中学でもいわゆるコンピュータオタク的な人は周囲におらず、僕の中で『箱』は『箱』のままだったが、その奥行が想像もできないほど深いということは理解した。
(ちなみに、ブログ、オンラインゲーム、ニコニコ動画のおかげで、「県内の高校・高専ならどこでも問題ないでしょう」と担任にいわれていた僕の成績は急降下した。)
そんな中学時代を過ごした僕が入った(入ることができた)高校は工業高校だ。後悔は無駄なのでネガティブなことを書き連ねる気はないが、3年間の高校時代を振り返って言えることは「微妙だった」ということだ。ビールを飲んだらぬるかった、そんな感じ。
しかし仮にも専門高校だ。得たものはまぁまぁ大きかった。
今まで考えたこともなかった『箱』の中身や、その奥に広がるインターネットと呼ばれる世界とその仕組み、おもしろフラッシュ・ブログ・オンラインゲーム・ニコニコ動画のような今まで触れてきたモノの実態。全てが新鮮で、僕はますますその世界に惹かれた。が、技術的な視点で惹かれたわけではない。アプリケーションの可能性という点で、である。
反省する様子もなく、中学時代以上にいろいろなオンラインゲームで遊んだ。ボイスチャットは最初は随分緊張したものだ。いや、今でも結構緊張する。
高校2年生のころ、徐々にその中身が見えてきた『箱』の中で新しいものに出会う。Twitterだ。当時は第2次Twitterブームが到来する前で、フォロワーにリアルの友達はいなかった。
高校時代のTwitterはかなり思い出深い。今も昔もネットコミュ障みたいなところがあるので積極的にリプライを飛ばすタイプではないが、タイムラインに流れる他の人の日常を見ると、たとえ大雨の日でも楽しい気分になった。昼休みだ、あのアニメの最新話はヤバイ、こんなものを買った、ドロリッチなう。なかなか感慨深い。それに加えて、同じ目標や興味を持つ人とコミュニケーションができたことも嬉しかった。オンラインゲームやブログが備えていなかった、『場』としての雰囲気がTwitterにはあった。正直、Twitterが無ければ僕は応用情報技術者試験に合格などしていなかっただろう。インターネットとリアルが繋がるという確かな感覚があったのだ。
大学選択は迷わなかった。正確には、迷うことができないほど僕の視野は狭く、浅い知識と技術しか持ち合わせていなかった。
一応、高校から一足早く、そして今日まで大学でコンピュータサイエンスを学んできた僕ではあるが、今見る『箱』は小学生のころに見ていた以上に得体が知れない。怖い。だって、これはもはや『箱』では無いのだから。なんだろう、形容するとすれば・・・スライムだろうか。
街を歩く。誰かとご飯を食べる。ねぇ、右手に持っているものは何ですか?
Twitterを見る。Facebookを見る。僕の知らない君がいる。
小学生のころからずっと純粋に感動し、触れてきたインターネット上のコンテンツの数々。高校時代に感じた、インターネットとリアルが繋がる確かな感覚とワクワク。しかし同時に、いつでも現実は現実として区別できていた。だから、どっちも楽しかった。高校時代の1日あたりのツイート数はまぁまぁの量だ。
今はどうだろう?分からない。現実で面と向かって話をしていても、相手がどこを見ているのか、何者なのか、さっぱりだ。インターネットとリアルは『繋がる』というよりむしろ『溶け合う』状態になっている。もしかしたら、他人から見た僕自身もそうなのかもしれない。これは変な話だが、「Twitterとか最近は放置してるわ」という人や、そもそもそういうものには見向きもしない人と話すとすごく安心する。安心しすぎて何でも話してしまうので、むしろ注意が必要だが。
中身は読んでいないので謎だが、本屋で平積みにされていたうめけん氏の本のタイトルは、2014年上半期で最も共感した言葉である。
先日、一人寂しく映画館へ行きトランセンデンスをみた。正確ではないが、その冒頭で字幕に映し出された台詞「インターネットによって世界は狭くなった。でも、無い方がもっと狭かった気がする。」これには衝撃を受けた。どんな英語の台詞を字幕に起こしたのか分からないが、見事だと思った。
インターネットは世の中を複雑にした。自由であり、なんでもできるということが実は一番難しいのだと思う。程度が違うけど、トランセンデンスでもジョニー・デップ演じるウィルはその自由さ故に(ネタバレ以下略)
ここ半年くらいだんだんと大きくなっている恐怖が一体なんなのか。良いことなのか、悪いことなのか。この感覚が正しいのか、間違っているのか。今の僕にはどうしても分からない。喉のすぐそこまで出かかっているような気もするのだけど。それとも、ただの懐古主義やネット疲れなのだろうか・・・いや、それはどうも腑に落ちない。
この気持ちを説明できるようになって、その向こうにある何かが掴めるまでもう少し、あと数年くらいはこの大きなスライムと向き合ってみたいと思う。
10年後には、もしかしたら地元・長野で農業でもやっているかもしれない。
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こんなことを書いた僕自身がTwitterにうだうだと投稿を続けるのもおかしな話なので、しばらくはこのブログだけを発言の場としようと思う。いつもの記事投稿を報告するPostも今日はおあずけだ。
そんな閲覧者数を稼げない方法で記事を公開して意味はあるのか、と言われるかもしれないが、まぁなんというか、僕はインターネット上に何らかの形で足跡を残しておきたいだけなのだよ。だからDisqus(コメント欄)も、日記カテゴリの記事には表示しないようにした。(わざわざif文で日記カテゴリだけコメント欄非表示するのが気持ち悪いのでやめました)
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最終更新日: 2022-01-18
書いた人: たくち
Takuya Kitazawa(たくち)です。長野県出身、カナダ・バンクーバー在住のソフトウェアエンジニア。これまでB2B/B2Cの各領域で、Web技術・データサイエンス・機械学習のプロダクト化および顧客への導入支援・コンサルティング、そして関連分野の啓蒙活動に携わってきました。現在は主に北米(カナダ)、アジア(日本)、アフリカ(マラウイ)の個人および企業を対象にフリーランスとして活動中。詳しい経歴はレジュメ を参照ください。いろいろなまちを走って、時に自然と戯れながら、その時間その場所の「日常」を生きています。ご意見・ご感想およびお仕事のご相談は [email protected] まで。
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