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2017-09-23

PyTorchのautogradと仲良くなりたい

  一杯のコーヒーを贈る

(希望)

せっかくEuroScipy 2017でFacebook AI researchのSoumith Chintala氏から直に PyTorch のお話を聞いたので、触ってみるしかないぞ!と思いました。

特に、PyTorchのウリだと言っていた autograd(自動微分)が気になるので、まずは公式チュートリアルから入門してみる。

x という変数を requires_grad=True オプション付きで定義する。値は1:

import torch
from torch.autograd import Variable
# [x1, x2; x3, x4] = [1, 1; 1, 1]
x = Variable(torch.ones(2, 2), requires_grad=True)

"PyTorch is numpy alternative" と言うだけあって、配列(テンソル)操作は困らない。

そして一次関数 y = x + 1 を定義:

# [y1, y2; y3, y4] = [x+2, x+2; x+2, x+2]
y = x + 2

さらに y を使って二次関数をつくる:

# zi = 3 * (xi + 2)^2
z = y * y * 3

コメントの通り、z = y * y * 3 を展開すれば z = (x + 2) * (x + 2) * 3 です。

関数の出力値 out を適当な値 z.mean() とする。z の各要素が zi = 3 * (xi + 2)^2 だったので、 その平均値は:

# out = 1/4 * (z1 + z2 + z3 + z4)
#     = 1/4 * (3 * y1^2 + 3 * y2^2 + 3 * y3^2 + 3 * y4^2)
#     = 1/4 * (3 * (x1 + 2)^2 + 3 * (x2 + 2)^2 + 3 * (x3 + 2)^2 + 3 * (x4 + 2)^2)
out = z.mean()

out の勾配:

# d(out)
out.backward()

x について:

# d(out) / d(xi) = 1/4 * 2 * 3 * (xi + 2) = 3/2 * (xi + 2)
print(x.grad)  # => [4.5, 4.5; 4.5, 4.5]

最初に xi = 1 としていたので、 xi.grad = 3/2 * (xi + 2) = 3/2 * (1 + 2) = 4.5 ということになる。

なるほど、autograd.Variable.backward() がキモらしい。そしてこのチュートリアルだけでも、PyTorchの『線形なコードフローを推奨する』という思想が強く実感できる。

ここでもうひとつ、実践的な例としてロジスティック回帰による Bag-of-Words の二値分類を試してみる。

詳細は割愛しつつ、肝心のSGDによる学習の部分のコードを抜き出してみる:

# this classifier outputs log probs for input Bag-of-Words vector
model = BoWClassifier(NUM_LABELS, VOCAB_SIZE)

# negative log likelihood loss
# input will be a pair of <log probs computed by model, target label>
loss_function = nn.NLLLoss()

# SGD optimizer for model parameters
optimizer = optim.SGD(model.parameters(), lr=0.1)

for epoch in range(100):
    for sentence, label in train:
        # clear accumulated gradients
        model.zero_grad()

        # create input BoW vector and target variable as torch.autograd.Variable
        bow_vec = autograd.Variable(make_bow_vector(sentence))
        target = autograd.Variable(make_target(label))

        # run forward pass (i.e., prediction)
        log_probs = model(bow_vec)

        # compute loss
        loss = loss_function(log_probs, target)

        # gradient of loss
        loss.backward()

        # update model parameters
        optimizer.step()

(変数名、コメントなど少し変えたり簡略化したりした)

  • BoWベクトルの入力に対して log Softmax を予測値として返す分類モデル model を、
  • 負の対数尤度 nn.NLLLoss() を損失関数として、
  • 確率的勾配降下法 optim.SGD() によって学習している。

勾配降下法なので、パラメータは損失 loss の偏微分に基づいて毎ステップ更新される。これが27行目 loss.backward() の仕事ということに。わかってきた。

しかし線形なコードフロー、気持ちはとてもよく分かるんだけど、optimizerloss を渡したわけでもないのに loss.backward() => optimizer.step() でパラメータが更新されるのが気持ち悪い…。

EuroSciPy 2017のKeynoteで語られていたことの背景はここまでの内容で十分つかめるけど 1、autogradと仲良くなれる日はまだまだ遠そうだなぁと思うのでした。

次のステップはなんだろう。PyTorch + autograd で Matrix Factorization でも実装してみましょうか。

1. PyTorchの思想や、高階微分の実装といった今後の計画など、実際に触ってみて「確かにそうだよね」という気持ちになった。

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  カテゴリ

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最終更新日: 2022-01-18

  書いた人: たくち

たくちです。長野県出身、カナダ・バンクーバー在住のソフトウェアエンジニア。これまでB2B/B2Cの各領域で、Web技術・データサイエンス・機械学習のプロダクト化および顧客への導入支援・コンサルティング、そして関連分野の啓蒙活動に携わってきました。現在は、主に北米(カナダ)、アジア(日本)、アフリカ(マラウイ)の個人および企業を対象にフリーランスとして活動中。詳しい経歴はレジュメ を参照ください。いろいろなまちを走って、時に自然と戯れながら、その時間その場所の「日常」を生きています。ご意見・ご感想およびお仕事のご相談は [email protected] まで。

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