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2013-07-16

本を読む本という本を読む

本を読む本を読了しました。

「本を読む」とは、程度の大小はあれど積極的な行為です。自分で読んで、学ぶ。

しかしただなんとなく読む、速く読む(速読)、たくさん読む(多読)だけだと、内容がしっかりと自分の血肉になるような読書とは言えない。

それじゃあ、一生をかけて様々な本から学び続けるためにはどうすればいいか、本書の言葉を借りると『いかにして書物を一生の師とするか』を知る必要があります。

この本では、読者自身が本に対して問いかけ、そして著者と対話をするような読書―積極的読書の取り組み方を説明し、『いかにして書物を一生の師とするか』という問いに対する心得を説いています。

原著のタイトルは "How to read a book" です。刊行は70年以上も前。すごい。

僕史上最高に時間をかけてじっくりと読んだ一冊になったのですが、以下、思ったことの中からいくつかピックアップしてつらつらと。

まずは本の表面だけをすくうように読む

著者が「本の読み方」を説く上で軸にしているのが、4つの読書レベル。

  1. 初級読書:とりあえずたいていのものは読める高校生レベルの読書
  2. 点検読書:(短時間で)本の全体像をつかむことができる読書
  3. 分析読書:じっくりと時間をかけてその本に書かれていることを自分のものにできる読書
  4. シントピカル読書:同一主題について複数の本を読んでいく並行的な読書(研究のときなど)

これら4つの読書レベルを順を追って説明しているのが本書のメインで、どれも目からうろこです。

その中でも僕が特に注目したいのは、レベル2の点検読書。点検読書は2つの段階からなっています。

  1. 下読み(本の品定め)
    • タイトル、序文、目次、カバーのうたい文句、本の議論の要になりそうな章のはじめや終わりの要約、本の最後2−3ページを拾い読みする
    • それらに目を通せば本の雰囲気は何となくつかめるので、本屋さんなんかでどの本を買おうか悩んだ時に使うと効果的
    • 特に見落としがちなのが目次
  2. 表面読み
    • とにかくその本を読み通して全体を見渡す(木を見て森を見ずはダメだよ)

世の中に本が増え続けている今、本屋さんで買う本を選ぶのも一苦労です。読みたい!とおもって買った本も読んでみたら微妙だった・・・ということもしばしば。

また、今人気のあんなビジネス書、こんな新書の多くは、とってもとっても読みやすく書かれています。この「本を読む本」で例として取り上げられているように、昔の小難しい哲学書や科学書から自分の身になることを得るのとはわけが違うのです。EasyとLunaticくらい違うのです。

そんな今だからこそ力を発揮するのがこの点検読書です。

本一冊を最初から最後まで読み通すまえに、まずは限られた情報からある程度内容をつかむ『下読み』から入ることを心がけよう。

それでもっと読みたいと思えたら、次に(本を買って)全体を読み通す『表面読み』をやろう。

それでも「まだ何か得られそうだ」となんとなくでも思えたのであれば、そのときはこの本(本を読む本)を買って分析読書に挑戦してみよう。

ただ1つ気をつけなければいけないことは、たとえ点検読書でも、それも積極的読書であるということ。必ず本に問いかけること。

この本で挙げられていた点検読書の段階で問うべきことは以下の3つ。

  • どんな種類の本?
  • 全体としてこの本は何を言おうとしてるの?
  • そのために著者は、どんな構成で概念や知識を展開してるの?

これに答えられて、「それ以上この本を読む必要はない」と思えるのであればもうその本はクリアと見て良いでしょう。

『良書』とその他多くの本

「読むに値する数千冊のうち、分析読書をするに値する正真正銘の良書となると100冊にも満たない」

こんなことを著者はしきりに語っています。訳者あとがきでも同様のことが述べられています。

9割以上、世の中のほぼすべての本は点検読書だけで十分。

残り僅かの、一度読んだだけでは容易に理解できない本こそが良書の可能性を秘めた本であり、たくさんの本の上っ面だけをかじるくらいなら1冊でもこれに従って「よく」読み通すことが重要だとも著者は言っています。

そして、本書に書かれている読書技術を心得ていれば、一度読んだだけでその本の再読の必要性は判断できるとのこと。

確かにそうですよね。どんな読み方があるのか知らなければ、良書もその他の本も全部同列に扱ってしまう。

結果として、良書に対しては「なんか難しくてよくわからなかった」、その他の本に対しては「面白かった」「よかった」というなんとも上っ面だけの感想しか持てませんものね。それでいて『書物を一生の師とする』なんて、口が裂けても言えない!

二流の本は、再読したとき、奇妙に色あせてみえるものである。もっとすぐれた本の場合は、再開したとき、本もまた読者とともに成長したようにみえるものだ。(本書251ページより)

名言。

小説の読み方

この「本を読む本」の優しいところは、小説の読み方が別できちんと書かれているところ。

読書術みたいなものってどうしても「教養書」に偏りがちで、小説をメインに読む人が間違って読んじゃうと「読書はもっと気軽に楽しむものだろ!!!」なんて言いたくなっちゃうものだけれども、この本は違うのです。

本文中にはそれはそれでいろいろと書かれているのですが、そのすべてを言い表しているなぁと思った一文が以下。

文学を本当によく読むためには、ただ、その世界を経験することしかない。(本書215ページより)

なんだか今すぐ小説が読みたくなりました。

そんなわけで

本を読む本を読んだので、ざっくりとまとめてみました。

この本そのものが『良書』かその他かと聞かれれば、間違いなく良書だと僕は答えます。

「本からもっと多くのことを得たい!」「読書をより有意義な、充実したものにしたい!」そんなことを思っている方はぜひ読んでみて下さい。安っぽい読書術の本とは一線を画していますよ。

ちなみに、小説の読み方についても書かれていますが、やっぱり話のメインは「教養書」の読み方なので小説ばっかり読むという方は読んでも得られるものは少ないかと思います。